3月 162013
 

エネルギーや環境問題に焦点を当て、世界の発展のあり方について
議論を喚起するために1982年にデンマークで出版された本.

これから世界が持続可能な社会になっていくために、どのような解決策
が有効であるか提示している.

本書では高エネルギー社会と低エネルギー社会をめぐる根本的な選択を
述べている.高エネルギー社会とは国内総生産(GDP)の成長のために物質
的な生産と消費が拡大していく社会を指す.これに対し,低エネルギー社会
とは,人々が満ち足り,社会的公正や人々との交際,ゆとりなどに価値を見
いだす社会を言う.

確かに,デンマークと日本では社会風土や政治経済状況が違うと考
える人がいるかもしれない.また,その後の技術革新,電力行政や地球
温暖化問題への取り組みなどによって,30年前のエネルギー状況と
は異なるという人もいるかもしれない.

しかし,本書は1979年の第二次オイルショックの時に原子力計画公
表したデンマーク政府に対して,市民団体が用意した対抗策のベー
スになった.その内容は省エネルギーに重点を置いたものだった.
成熟社会に向かうための方策を明確に提示している.つぎに,エネ
ルギー政策を「需要側」から組み立てる見方を提示している.これ
により,これまで「供給側」から政策を組み立ててきた日本のエネ
ルギー政策の欠陥が分かる.最後に,私たち自身が持続可能な社会
に向けて自分たちの暮らしや価値観を見つめ直し社会に働き掛けて
いくとことが大事であると述べている.

エネルギー・環境問題の構造は、日本を含む先進国では現在でも概
ね変わっていない.30年も前にデンマークで書かれた本書を読む意義
は少しも薄れていないであろう.

本書は,現在の日本社会の目標について,考えたり再考するきっか
けになった.やはり,こまかいデータ分析も大事であるが歴史の転
換点にはこのような大きな流れこそ議論する価値があると感じた.

 Posted by at 6:48 PM

Sorry, the comment form is closed at this time.