3月 162013
 

フリーのルポライターである著者が,日本のエネルギー行政の矛盾
を書いたドキュメント.

原発が,いかに過疎地の人々に犠牲を強いてきたか著者が全国の原
発を回り,金にその声を押しつぶされてしまった人々の苦悩やそれ
でも闘う人たちの姿を抑制された筆致で書いている.

筆者が,
「いまのわたしの最大の関心事は,大事故が発生する前に,日本が
原発からの撤退を完了しているかどうか.つまり,すべての原発が
休止するまでに,大事故に遭わないですむかどうかである.大事故
が発生してから,やはり原発はやめよう.というのでは,あたかも
二度も原爆を落とされてから,ようやく敗戦を認めたのとおなじ最
悪の選択である.」
と書いている.

福島原発事故が発生し,その最悪の選択を日本はしてしまった.

この本には,原発そのものの危険ではなく国や電力会社が金だけでな
くあらゆる策略と恫喝を弄して土地を買い占め,有力者を買収し住
民の反対運動を押さえ込んでいったかが克明に書かれている.ばら
まき行政の露骨で退廃したやり方がこれでもか,というほど書かれ
ていて驚いた.けっしてヒステリックな書き方はしていない.逆に
そのため,地域住民の声なき声に筆者が耳をそばだてて書いている
のが読んでいて伝わってくる.

10年前に書かれた本だが,今こそ読むべき本である.

 Posted by at 6:43 PM

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