《社会》「社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで」 山岸 俊男

社会的ジレンマ,信頼,社会的知性,共感など,心と社会との関係
について総合的に研究を進めている著者が社会的ジレンマについて
書いた本です.

社会的ジレンマというのは,人々が自分の利益や都合だけを考えて
行動すると,社会的に望ましくない状態が生まれてしまうというジ
レンマです.(p.11)

社会的ジレンマの研究はきわめて多岐にわたる学問領域で行なわれ
ていて,本書では心理学や社会学の分野で行われてきた研究の成果
を中心に紹介しています.

筆者は利己主義を徹底させると愛他的行動に行き着くとしており,
自分が協力的に行動することにより他人を導くことができれば,そ
して長期的に見て自分が協力的に行動することのコストよりも他人
を協力に誘い込むことにより得られる利益の方が大きければ,「徹
底した利己主義者」は進んで協力的な行動を取るそうです.

このあたりは具体例を出して解りやすくしようとしていますが,
本書の中では抽象度が高い部分です.

社会的ジレンマを,協力行動ではなく非協力行動を取ることに対す
るインセンティブが存在している状況とも言い換えています.

人間の心が社会的ジレンマ問題を解決するために進化してきたのだ
としたら,その行き着く先は贈与経済か評価経済か.今後の社会経
済のあり方を見たような気がしました.

《社会》「若者が無縁化する: 仕事・福祉・コミュニティでつなぐ」 宮本 みち子

青年社会学,家族社会学を専門とする著者が日本の若者の貧困問題
について述べた本です.

現在の日本で貧しい家庭に育った子供や若者が厳しい競争社会のな
かで敗者の地位に追いやられているとこの本は警告します.

リーマンショック,そして東日本大震災以後若者を取り巻く状況は
より厳しくなっています.

そのような経済状況の中で恵まれた条件を持たない若者がグローバル化
やIT化により集中的にダメージを負っています.

彼らが労働市場でもっとも困難な状況に置かれていると言ってもいいでしょう.

さらに労働市場の選別化が進むなかで,そこから排除されがちな若者の実
態を見据えた検討が必要だという問題意識にこの本は立っています.

彼らが社会から見捨てられているという厳しい現実があり,そのような
社会情勢の中孤立した若者の急増に対して,私たちはなにをなすべきか?
と問いかけます.

若者の実体を具体的に明らかにし,彼らを孤立させない方法を述べています.
これからの日本の教育を考える上で貴重な本であり一読を勧めます.

《政治》「緑の政治ガイドブック: 公正で持続可能な社会をつくる」 デレク・ウォール

緑の政治とは,1970年代に誕生し,人間と自然の関係を中心にすえ
て,社会と経済のありかたを考え直そうとする運動です.

本書は,まず緑の運動家が共有している理念を描き出し,緑の党が
直面している課題を指摘しています.

本書によると今の政治には,「エコロジー」と「社会的公正」が必要だ
そうです.

また,グリーン・ニューディール政策がますます重要になり再生可能エネ
ルギーの分野で仕事を生み出し石油への依存を減らすべきと述べて
います.

このあたりは,今の日本の状況でかなり緊迫した問題なので興味深く読めました.

この本を読むと日本も国家通貨が下落した時にそなえて地域通貨の
訓練をしておく必要があると感じました.

緑の党のこれまでの運動を網羅的に書き,その全体像がわかりやす
くガイドブックとしてよくできています.

《ビジネススキル》「瞬間操作!高速キーボード術」 リブロワークス

ショートカットキーをWindowsで動くアプリケーションを中心にま

とめた本です.

この本の特徴は,ただショートカットキーをアプリケーションごと

に紹介するのではなく「共通するキー」と「連携するキー」とに分

けて説明するところにあります.本書によると「共通するキー」とはパソコ

ン全体で同じ操作を実行できるショートカットキーのことです.

「連携するキー」とは,1つだけではメリットが少ないものの,他

のショートカットキーと連携して使うと威力が倍増するショートカッ

トキーのことです.

 

1章でキーの役割やキー操作鉄則を説明し,2章で上記の「共通する

キー」をまとめて紹介しています.ここまでがいわゆる基本部分で

す.

 

3章以降,Windows OS,Word,Excel,Webブラウザ,メールソフトのショー

トカットの説明がされています.WebブラウザはIE,メールソフトは

Windows Live メールが中心です.

 

読み方としては,2章までの内容に慣れた後各自自分に必要なソフ

トのショートカットキーを学べばよいです.キーボード図や画

面写真も多く類書よりも覚えやすいでしょう.

《ビジネススキル》「語学力ゼロで8カ国翻訳できるナゾ」 水野麻子

実務経験なしの状態から2週間で独立し今も平均翻訳月収150万円を維持している

著者が実践している他に例を見ない工夫やアイデアについて述べた本.

はじめに

実務翻訳には特に興味はないのですが,ウェブ上にある英語の技術記事を私家翻訳

して手元に置いておこうと思い手に取りました.

感想・面白かったところ

読みたかった所は第三章の「生き残りのカギは発想の転換にあり」に書いてありました.

Wordのマクロプログラムを使ったいろいろな置換方法が書かれています.

これなら,Emacsでもできるだろうし,PerlやRubyでプログラムを書いて

置換すればいいとわかりました.

関連する本や資料など

著者の公式サイト

水野麻子 公式HP

さいごに

内容は翻訳だけでなく,仕事の効率化にも触れており参考になる点が多かったです.

そのため,本のタイトルが内容を表していないと思います.その点が残念です.

《勉強》「超効率勉強法」 知的生産研究会

タイムマネジメントから記憶術,習慣化など勉強法を紹介した

文庫書き下ろし.

はじめに

どこかの書評サイトで勉強法のエッセンス本と紹介されていたので

読んでみました.

感想・面白かったところ

後ろのほうにお勧めの本が10冊あげられています.また,参考文献が

膨大な冊数あげられています.これらのエッセンスが文庫サイズにぎっしり

とつめこまれています.特に語学や資格の試験対策に役立つでしょう.

関連する本や文献など

上にあげたように参考文献などが沢山あげられていますので,興味を持ったら

読んでみるとよいでしょう.

最後に

すべてのテクニックを実践しなくてもいくつか気に入ったものを実行してみると

よいです.特に机の前に座れずこまぎれ時間しかない人はタイムマネジメントの 章

が大変参考になると思います.

《勉強》「お金を稼ぐ!勉強法」藤井 孝一

《本の概要》

今日ご紹介するのは、アウトプット重視の勉強に切り替えるための 考え方や発想法,ノウハウなどいろいろ詰まった一冊です.

「週末起業」という手法を提言した経営コンサルタント藤井 孝一さんが 書いた勉強法の本です.

アマゾンの内容紹介から.

なぜ、同じ勉強をしても、稼げる人と稼げない人がいるのか――。

その違いは、「インプット重視の勉強をしているか」「アウトプット重視の勉強をしているか」にあります。

勉強する“だけ”では1円も稼げません。勉強したことを生かして(=アウトプット)、初めてそこに人間、情報、そしてお金が集まってくるのです。

勉強をしても、それを生かして稼げなければ、単なる宝の持ち腐れです。勉強するだけで満足している人は、土地の購入に全財産をはたいてしまい、家を建てられずにせっかくの土地を空き地にしているようなものです。

勉強するならば、「稼ぎを生み出す仕掛けにまで育てる」ことです。頭を使えば、工夫をすれば、それは絶対に可能です。独立開業あるいは会社で活躍するツールにも、自分の信念を貫く切り札にも、いざというときに家族を守る武器にするためにも、そうしなければなりません。

もし、あなたが勉強を「趣味」「単なる自己実現」と位置づけるなら、本書ではなく別の本を買うことをお勧めします。そうではなく、勉強を「自己投資」と位置づけ、何がなんでもそれを回収し、稼ぎにつなげたいのであれば、本書は絶対にあなたの役に立ちます。

しかも、勉強による自己投資は、元手を回収すれば、あとは利益を生むだけですから、リターンは無限大となります。

何をどう勉強すればいいのか。学んだことをどう生かし、いかに稼ぎにつなげるか。そのキャッシュポイントはどこにあるのか――本書は、「お金を稼ぐための勉強」の考え方、発想法、ノウハウを余すところなく紹介します。

入試や資格試験のようにインプット重視の勉強もありますが, アウトプット重視(=勉強したことを生かす)な点が本書の特徴だと思います.

《ポイント》

▼ 1.「取りたい資格」ではなく「生かせる資格」

「やりたいこと」ではなく「生かせること」は何か,
というところから発想し,勉強すべきテーマを考えてみることです.
何度もいいます.「学んだことを生かす(アウトプット)」こと抜きに
ビジネスマンの勉強を語ることはできないのです.

▼ 2.「稼ぐこと」は「人の役に立つこと」

高収入を得ている人は,例外はあれど,それだけ人や社会の
役に立っている人です.

▼ 3.勉強していることを隠さない

まず,宣言することで「いってしまった以上,後に引き下がれない」と
いう心理が生まれます.また,モチベーションを上げたり,
継続させたりする効果もあります.

▼ 4.ネットワークと仕組みで稼げないか

会社で仕事をしながら自分で実行するのでは月に10万,20万円が
限度です.しかし,仕組みとネットワークをつくり,仲介業務
を行なうことで,それを越えられます.

▼ 5.勉強は広く浅く

勉強は,まずは広く浅くが鉄則です.それを何度も繰り返すこと
が大切です.広く浅くを繰り返しながら,少しずつ深いところを
理解していく.

《感想》

  • 勝ち組の勉強:稼ぐための勉強,アウトプット中心の勉強
  • 負け組の勉強:資格試験のための勉強,インプット中心の勉強

というように著者の立場は明確です.

「誰かに雇われる生き方」ではだめであるというのは

「週末起業」のころから変わらず特に新鮮味はないです.

英語,会計,マーケティングをぜったい学んでおきたい三種の神器と

して挙げていますが,これはこれまで学んできたことに

より人それぞれ違うでしょう.

私なら英語,コンピュータリテラシー(できればプログラミング),法律

を推します.

勉強法というタイトルからするとハウツーを期待してしまいますが,

半分くらいは「早朝勉強法」,「儀式」など自己啓発本に載っているような

内容です.よって,自己啓発本を読み漁っている人には新鮮味がないでしょう.

しかし,今後の収入に不安があるサラリーマンの方は入門書として

読んでもよいかもしれません.

《目次》

1章 ちょっとした勉強で「年収を倍増する仕掛け」とは?
2章 「お金にならない勉強」はするな!
3章 年収2000万円以上になるための「自己投資術」
4章 今より3倍稼ぐ「超アウトプット勉強法」
5章 とにかく3週間続ければ人生が変わる!