3月 162013
 

社会心理学・災害社会学を専門とする著者が,社会学,心理学,言
語学の視点から,噂がいかに生まれ,形を作って広まってゆくかの
メカニズムを分析した本.

口裂け女や外国人労働者暴行説などの噂から噴火や地震等の災害を
めぐる流言まで幅広く扱っている.

今年,東日本大震災が起こり,そのときの津波による原発事故が発
生した.その後,放射能汚染の風評被害が福島県を中心に起こって
いる.そのような社会状況の中,なぜこのような風評被害があとを
たたないのか興味を持ち,この本を手に取った.

この本では,風評被害は第3章で扱っている.
その節のタイトルを抜き出すと「風評被害とはなにか」,「雲仙普
賢岳噴火と風評被害」,「所沢ダイオキシン報道と風評被
害」,「ICO臨海事故と風評被害」となっている.

そのどれもが何らかの経済的被害が発生し,またマスコミの過剰報
道の事実がみられる.

この本が書かれたのが,平成13年のことであるから風評被害についても
新聞やテレビなどのマスコミによる経済的影響について言及されて
いるだけである.ここ最近話題にのぼっているTwitterなどのソー
シャルネットワークやインターネットの進展にともなう風評被害の
拡大については当然のことながら述べられていない.

しかし,著者がおわりの方で20年以上かかわってきた自然災害の領
域でしか流言について語ることはできないと述べているが,それ
ゆえに日本全体が過剰に放射能に対し恐怖心を抱いている今こそ,
読むべき本であると感じた.

 Posted by at 7:04 PM

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