2月 192013
 

社会的ジレンマ,信頼,社会的知性,共感など,心と社会との関係
について総合的に研究を進めている著者が社会的ジレンマについて
書いた本です.

社会的ジレンマというのは,人々が自分の利益や都合だけを考えて
行動すると,社会的に望ましくない状態が生まれてしまうというジ
レンマです.(p.11)

社会的ジレンマの研究はきわめて多岐にわたる学問領域で行なわれ
ていて,本書では心理学や社会学の分野で行われてきた研究の成果
を中心に紹介しています.

筆者は利己主義を徹底させると愛他的行動に行き着くとしており,
自分が協力的に行動することにより他人を導くことができれば,そ
して長期的に見て自分が協力的に行動することのコストよりも他人
を協力に誘い込むことにより得られる利益の方が大きければ,「徹
底した利己主義者」は進んで協力的な行動を取るそうです.

このあたりは具体例を出して解りやすくしようとしていますが,
本書の中では抽象度が高い部分です.

社会的ジレンマを,協力行動ではなく非協力行動を取ることに対す
るインセンティブが存在している状況とも言い換えています.

人間の心が社会的ジレンマ問題を解決するために進化してきたのだ
としたら,その行き着く先は贈与経済か評価経済か.今後の社会経
済のあり方を見たような気がしました.

 Posted by at 4:10 AM

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